すこし、ゴソゴソした口あたりだけれど、そこが素朴でよい。
ショウガの辛みがほどよく、トーストしてはちみつをぬるとおいしい。
室温が30℃ちかくなってくると、パンのできが悪くなるそうだ。
この季節は室内の空調を除湿モードにしていることが多いので、だいたい28℃くらい。
まだ、パンのふくらみ具合などにはそれほど影響はない。
ただ、鮮度の落ちぐあいが早いので、焼いたらさっさと食すにかぎる。
先にお知らせしたさいに書き忘れたのだが、
小説現代7月号に掲載の「傘どろぼう」では、今まで公表されていなかった(笑)、
語り手の「私」の名前と、姉の名前が、あきらかになっている。
これでようやく主な登場人物の名前がでそろったことになる。
ところで、今は書き下ろしの原稿の追い込み中。
ここでは、フリガナなしでは、読めない難読の姓を持った人ばかりが登場する。
わたしは難読の姓を集めた辞典を持っていて、
ヘンな名前が必要なときは、そこから拝借する。
辞典に載っているのは、実在する姓であるらしいので、世の中には数々の難読姓のかたがたがおられるということだろう。
『咲くや、この花』の連載中に登場させていて、単行本にするさいは、わずらわしいので削除してしまった「谷谷谷谷」という姓も、難読辞典からひろった。
たにかべ、やつや、などと読む。
この辞書をめくっていると、同じ漢字をくりかえす姓というのが、けっこうある。
日日日で、たそがれ、ひびか、などと読むそうだ。
珍名をつけるのは、わたしの場合は、リアルから遠ざけるため。
でも姓も名前もインフレーションを起こすので、読みがなはおなじで、漢字だけ変える、という手段をよくつかう。
わたしの世代だと、同級生の男子のなかに、武士みたいな名前の人がけっこういた(~チカとか~ヨシとか、~ノリという具合に)。近ごろは、男子でもそういう厳(いかめ)しい名前の人はめったにいないし、自分がその名前を持っていた人たちでさえ、わが子には、グローバル(だと思いこんで)けったいな名前をつけているようだ。
むろん、わたしは武士風の名前ほうが好き。