あられ石(Aragonite)
化学式では、CaCO3(炭酸カルシウム)となり、方解石とおなじ。
どちらもさまざまなフォルムで出現するため、しろうとには識別がむずかしい。
おまけにどちらも希塩酸に発泡してとけるので、あわあわした球状の標本もある。
菱面でヘキ開していれば、方解石だなとわかるが、泡状であると、もう区別はつかない。
鉱物好きの人たちにとっては、あられ石や方解石の鑑定ができるようになることが、目利きへの道となっていると聞く。
わたしは、いつまでたっても、見立ての遊びの範囲を出ない。
だから、当然鑑定もできない。
この標本をながめて、まっさきに思い浮かべたのは、ういろう、だった。
ヨウカンほど密ではなく、寒天ほど、とろんともしていない、
ういろう、ならではの半端(はんぱ)かげんが、この判定しがたい鉱物標本の見立てにふさわしい気がした(笑)
陽をあびて、紫に発光する。
日によって、その紫の具合が異なる。
やけに青々としている日もあれば、茶色なのかと思う日もある。
反射光で撮影すると、こんな具合に。
あられ石も方解石も、多くは温泉の沈殿物として産出する。
もっと小粒なものが集合している標本だと、サンゴの死骸のように見えるものもある。
姿だけでなく、実は成分もおなじ。サンゴの死骸も炭酸カルシウムだから。
魚の耳石(じせき)も、化学式で書くと、あられ石や方解石とおなじになる。