少し前の話になるが、CS放送でフランス映画の「ぜんぶ、フィデルのせい」をみた。
恵比須ガーデンシネマで上映していたときどうしても時間がとれず、
心残りだったので、CS放送での放映はありがたかった。
時間のやりくりがつかないときに、無理をしてでも見ておきたい、
という部類の映画ではないけれど、
衣がえの時期に、
収納ひきだしにしまう衣類に防虫のためのアイロンをかけをする、
なんてちょっとめんどうなことをしているとき、見るのにちょうよい内容の映画だ。
ほどのよい長さも、ありがたい。
9歳の主人公の女の子の服装がよい。
設定が70年代初頭なので、わたしにとっては小学校時代にあたる。
60年代後半から70年代のファッションを現代風にアレンジしてある。
典型的なのは、キルトの巻きスカートに、細身のタートルネック(当時は、とっくりセーターと呼んだ)セーター。
ステンカラーのコート、あるいは衿の大きなAラインのウールのコート(当時のリセエンヌが好んだ)。
キルトの巻きスカートがはやった時代があった。
日本では72年か73年くらい。わたしが中学生のころ。
タイツとあわせると、女の子の服としてはとても可愛らしいのに、
なんで、今はないのだろう。
サロンエプロン風に巻きつけてきるジャンパースカートもあった。
(通したひもを、前にまわしてリボン結びにする)
素材はコーデュロイ(裏地はおもに、小花プリント)。
これにアイリッシュセーターをあわせる。
このあたりは、陸奥A子さんの作品に登場する女子の服装の典型でもあった。
秋から冬の服としては、シンプルで暖かく重ね着もOKと、とても便利だった。
「ぜんぶ、フィデルのせい」では、主人公の母親は、
フォークロア調の服(いわゆるヒッピーファッション)。
弟の、チェックのパンタロン風ボトムも可愛い。
スペインの貴族階級出身で今はフランスで弁護士をする父と、「マリー・クレール」誌の記者である母が、ある日とつぜん、共産主義にめざめ、生活そのものを一変させる。
そんな両親に翻弄される、保守的な女の子の物語。
母親に、「文句たれ」とあだなされるほど、
しかめっつらの似合う主人公の表情が魅力的。
60年代70年代ファッションで、さっそうと歩く(実はムクれて)姿もかっこいい。
光のかげんで、かがやきもすれば、シックにもなる髪の色もうらやましい。
そういえば、あの時代のスペインには自由がなかったんだっけ、
と思いださせられた映画でもある。