台地があるということは、坂道や階段も多い。
通学しているころは、毎朝の自転車でののぼり坂が恨めしかった。
帰りは、爽快にすべりおりることができた。
むろん、階段はさける。
東京の新宿区や文京区あたりは、もっと地形が複雑で
台地と谷とが狭い地域のなかでいりくんでいる。
落合だの谷中だのといった地名は、そのまま地形をあらわしてもいる。
やっと坂をのぼったと安心するまもなく、
こんどは谷になる。
都心部で、へびのようにクネクネとした細い道があったら、
それはたいてい昔の川を埋め立てた道路だ。
実際、谷中などは「へび道」と呼んでいるから、
すぐにわかる。
明治時代の地図と重ねると、かつての湿地や川がいまや陸地に
なっている。
渋谷など、まさに谷底のあたりに熱気がたまる。
(井の頭通りの交番ちかく)
困ったことに、においも……。
上の画像の階段のとちゅうでふりかると、
こんな景色。
わたしが子どものころは、これほど建てこんでいなかったので、
もっと見通しがよかった。
(この画像の遠景の台地は多摩丘陵)
宅地化により、S山が見える坂は、
ごくわずかになってしまった。
ただ、『野川』は現代の話なので、こことはべつの坂道では、
S山も多摩丘陵も見える。
味の素スタジアムで花火大会があると、
わたしの家からは、S山ごしに花火の半分が見える。
スターマインなどの仕掛けものは、かがやきだけ。
音は花火の数以上に聞こえてくる。
見えない花火の音は、騒音にひとしい。