ぴき王子はいつのまにか戴冠式をすませ、
王になった。
残念ながら、戴冠式の画像はない。
当時はどうしても
携帯電話のカメラにも
デジタルカメラにも慣れてくれなかったため、
撮影が不可能だったからだ。
でも、なぜか
スマホにはすぐに慣れてくれて、
(というより、やや離れたところからでも撮影可能なので)
近影が撮れたというわけ。
お遊びマット(実はフィスバという高級カーテンの生地。
わたしがK百貨店に勤務していたころに、ハギレを購入したもの)
のうえで、
お気に入りの道具で遊んでいるところ。
スプーンは、乗ったり、運んだり、頬をこすりつけたり。
乗るのは、スプーンのお舟の部分。
へりにまたがって、シーソーのようにバランスをとって遊ぶ。
または、板敷の床へ運んでから、
かた脚で、ふみふみして、カタカタと音をたてる。
その音に耳を澄ませて、満足そうな顔をする。
床の材質によって音が変わるのが楽しいらしく、
あちこちへ運んで、試している。
スプーンをくわえて飛ぶこともできる。
お舟と柄のつけねのあたりをくわえる。
そのため、くわえやすい細さと、
運べる重さであることが
「ぴき王さまのスプーン」には求められる。
その条件にあてはまるスプーンを購入するのに、
こちらは苦労する。
柄の細いものが、なかなかない。
いっしょに写っているピヨコちゃんは、
お気に入りの彼女(女王ではない)。
よりそったり、乗りかかったり、
クチバシでつまんで、ぶんぶん飛ばしたり。
ふわふわスポンジ製。
はじめは、目やクチバシがちゃんとついているのだけれど、
いつのまにか、黄色だるまのようになってしまう。
これは二代目。
動きまわっているところを撮影したので、
ちょっとブレがある。
ぴき王は遊びに夢中で自分の身だしなみには
無頓着。
王さまだから、あたりまえか!
ねんじゅう尾っぽをしごいて
剣のようにピンとまっすぐにさせて、
満足顔のインコちゃんもいるけれど、
ぴき王の尾っぽは、いつもぐしゃぐしゃ。
狭いところにハマりこんで尾っぽが曲がっていても、
平気な顔。
自分の体長をよく理解していないらしい。
しばらく遊んで満足すると、
「おうち(カゴ)に帰る」と係の者(わたしの母)に
云いにくる。
カゴのとびらはもちろん開けてあるから、
勝手に帰ることもできるのだが、
ちゃんと「お見送り」されないと満足しない。
さすが王さま。
おうち(城という意識ではなさそう)には、
止まり木にくっつけるタイプのおもちゃのインコちゃんがいる。
お遊びのあとは、その子によりそってひと休み。
なんのつもりなんだか。
仲よしなのだろうけれど、
ときどき、ガコンガコン、とすごい音がするので
カゴをのぞくと、
インコちゃんが、止まり木を軸にしてぐるんぐるん。
(王さまが脚で回転させている)
ひるまはほとんど、じっとしてない王さま。
日暮れとともにお休みになられ、
夜明けまでぐっすり。
そのあいだは、うんともすんとも云わない。