雪の朝には、
水鳥の落とした羽が、
こんなふうに青く氷ついて落ちている
かもしれません。
先端は、透明になっています。
重晶石は、ときおり鳥の羽のような
(つまり天使の羽でもありうるような)
かたちをした標本にめぐりあうことがあります。
くさびのようなフォルムが面白いです。
板状で、薄くて四角いもの。
カルタ、カルテ、キッテ。
光りに透かして眺めれば、
空族の地図が書きこまれているかも、
なんてことを妄想してみるのも一興です。
昔むかし、わがままなお姫様が
「火にくべても燃えない上着」を持ってきたら結婚しましょう、と
云ったそう。
各国に似たような昔話があります。
鉱物のなかの繊維状の結晶を見つけた人たちは、
だれしもこれで「上着」をつくったら、
火のなかを歩けるにちがいない、と考えたのでしょう。
クリソタイル(蛇紋石)を原料とする白石綿は、
比較的毒性の弱いものではありますが、
いまやこのようにケースごと鑑賞するものとなりました。
じっと観察していると、やわらかそうで繊細で
氷の針と糸のようにも見えます。
クリスマスシーズンにふさわしく
華やいだ薔薇いろの結晶の標本をご用意しました。。
母岩も小さな薔薇の花飾りのような
愛らしい一品です。
黒っぽい結晶がアルベゾン閃石です。
反射の具合で濃紺にも深緑にも見える魅力的な石です。
チョコレートメゾンでガラスケースにならんでいたら、
モカクリームとビターチョコレートの絶妙なコンビネーション!
(ヘーゼルナッツ入り)
と思えることでしょう。
(やや、ピントが狂いました。めまいのする画像ですみません)
かつて
レモンイエローの発色があざやかな絵の具は、
ヒ素をふくむこの鉱物からつくられました。
中世の絵画は有毒物質でもあったのです。
星のオーナメントをつくってみたくなる
紙のような薄さと煌めきです。
はやぶさ2の一人旅もけなげですが、
ボイジャーがいまもと遠い遠い宇宙の果てで
旅を続けていることも、
ときどき思い起こしておきたいものです。
その通信は、もう地球には届かなくなっていますが、
いつか技術が発達したら、
ふたたび受信できるのかもしれません。
宇宙のなかほどには、たくさんの銀河があるそうです。
これはそんな銀河のひとつを
連想したくなる標本です。
(これも、ピントが甘いですね。
天気が悪い日の撮影で、と云いわけしておきます)
お手もとにとどいたら、
ぜひ、拡大鏡でのぞきこんでみてください。
渦のなかの、小さな輝きのひとつひとつが
星なのだと思えたとき、
このうえない愉しみがひろがります。