
この正月用に、まるごと1本と半分サイズの伊達巻きを用意し、さんざん愉しんで、のこりもわずかとなった。
お雑煮もつくり、食事だけはなんとか正月らしくあったけれども、1日からほぼ通常どおりの原稿書きで、おめでたい気分はあまりない。
初詣は旧正月で、というのが毎年恒例になってしまった。
今年は外へ出ても、華やいだ正月風景はなく、子どものころの、晴れやかさと厳粛な雰囲気とがいりまじった「お正月」は、もはや幻かとも思える。門先に松飾りのある家もいちだんと少なくなった。用意したくても、つくる人がいなくなり、近所で手に入らないというのが理由のようだ。
数年まえまでは、正月にちょっと外を歩けば、旗をたてている家が何軒かはあったけれど、今年はひとつも目にしなかった。
正月といえば、そこらじゅうで旗がたっていたのも、子ども時代の幻か。
おめでたさはともかく、背筋をのばして居ずまいを正す、というあらたまった気分だけは、いくらかでもあったほうがよいにちがいない。