鉱物の紹介のまえに・・・。
きのう、「小説現代」4月号の見本誌がとどいた。
その目次のリードで少し腹立たしいことがあったので、ひとこと。
今回の読み切りでは、「私と義兄」のほかに「私の同僚のM」という人物が出てくるのだけれど、そのMの人物像は、読んでのお楽しみというか、さまざまな記号によって、ことさら述べるまでもなく、当然ソレであろう、という人物なので、わたし(長野)の読者にとっては、あるべき記号を読み(結果は当然であるにしても)、その約束ごとをたどることが、ひとつの楽しみであるはず。
それを、ぶちこわすようなリードで(しかも、筆者が日ごろ、けして使わないことばによる表現)、その無神経さに腹が立つ。
で、ひとこと云っておきたくなったというわけ。
もし、立ち読みなさるさいは、目次をごらんにならないほうがよい。
P506からはじまるので、それを記憶して雑誌をひらいてほしい。
だってもう記号と約束ごとを読みたい読者にとっては、「私と義兄」のほかに、同僚のMとほのめかされたら、それだけで想像(というか妄想)が8割がた完成ってものでしょう(というつもりで筆者は、あのシリーズを書いている)。
雑誌の現場の人々は、原稿集めのプロではあるけれど、読者の「読むたのしみ」についての理解が浅い。
今回の目次は蛇足もいいところ。
「野性時代」の編集部ではリードも事前に確認させてくれるので、読者のたのしみを奪うような表現があるときは(たまにある)、わたしが阻止している。
今月の「小説現代」は、知らないうちに。
目次をひらいて、びっくりしたので、ひとこと云いたくなったというわけ。
気がすんだので、いざ鉱物の紹介へ(笑)