
しばらくマニアックな石がつづいたので、ここでひとやすみ。
鉱石に目ざめて間もないひとも楽しんでいただけるような標本をご紹介する。
〈砂のばら〉と呼ばれるものには大まかに2種類あって、チュニスあたりで採れる石膏(せっこう)質の透けるかんじのものと、今回の標本のように重晶石(じゅうしょうせき)でできているものとがある。
どちらも乾燥地帯の産物であることには変りがない。
今回の標本はアメリカはオクラホマの産。重晶石のばらは、石膏のものより、ばららしいフォルムを持っている。名前のとおりに、重みがある。
ココアパウダーをたっぷりまぶしたチョコレート。アーモンド粉がはいっていて、さくさくしている・・・。
あるいは、シナモンパウダーで化粧した蜜苹果(みつりんご)。
今回の〈さくら祭り〉は、1点もののめずらしい石が多い。したがって、マニアック度も高くなり、最近になって石に開眼したひとには、楽しみ方のわからない標本もあったと思う。 でも、単純に「自分はここが気に入った」という感覚で石を選べばよく、標本市や博物館などで、いろいろな鉱物をながめて、天然の造形をあじわってほしい。
価格帯も高めになってしまったので、鉱物というものに慣れていないかたは驚かれたかもしれない。
つぎは、手初めにルーペからそろえたいかたのための、ルーペつき標本セット。

標本は、いずれも桜色のものを集めてみた。岩塩(上)、電気石(中)、スミソナイト(下)
今回は、真ん中の、小さいけれどちゃんとウォーターメロン色をした電気石が、この標本の目玉である。
そこをアップにしたものがこれ。

ピンク色がきれいに発色する電気石は、図鑑などでは目にするものの、なかなか見つからない。標本市で見かけても、宝石なみの途方もない価格。
でも大丈夫、こんなに小さなものでも、ルーペの力を借りれば、じゅうぶんたのしめる。