
ルーシー・リィさんという陶芸家(1902-1995)がいる。
そのいちじるしい特徴は、作品集の表紙をかざっているピンクの釉薬で化粧したうつわのように、一般の陶芸作品からは思いつかない色あいと、かたちである。
ピンクだけではない。
天上の青、と形容したくなるような、澄んだ青いうつわがある。
くちなしの果で染めたような黄色がある。
若草の芽吹きのような、やわらかい緑色がある。
アルパカの毛糸で編んだセーターのような温かな白がある。
カトリーヌ・ドヌーブがかぶっていそうな、エレガントな帽子(を逆さまにした)ようなうつわがある。
白地に、雨を思わせる渋茶の筋がはいり、うつわのくぼみのところに、しずくがたまったようなターコイズグリーンの象眼(ぞうがん)がほどこされたうつわがある。
そんな具合なのだ。
かたちは、うすくて小さい。
または、波打ちぎわのように、偶然がつくりだした造形に匹敵する縁(へり)を持っている。
花冠を茎からはなしてテーブルのうえで立たせたような、あやういバランスをたもっている。
しかし、どれも料理を盛りつけたいという、うつわにとってもっとも重要な願望を呼びおこす。
そんなルーシー・リィさんの陶芸作品を、ひさしぶりにまとめて鑑賞できる作品展がひらかれている。
「U-Tsu-Wa」展 東京ミッドタウンの21_21DESIN SIGHTにて
2009.5.10(Sun)まで。
休館日は火曜日(5月5日は開館)