きのうの晩、報道番組のなかで(いやいや見ていた夜の9時台のニュース)、カラスの巣が停電の原因になっている、という話題があった。
カラスはいつごろからか、はりがねハンガーを巣材にすることを思いついた。
マンションのベランダなどから、盗んでくる。
タオルなどを乾すために使用中でも、洗濯バサミをはずしてタオルを捨てて、ハンガーだけ頂戴する、つわものもいるのだとか。
そうして、電柱のうえに作られた巣がショートの原因となり、停電を起こすそうだ。
……ところで、うちのインコは、せっせとプラスティックスプーンを運んでいる。
あれも、ある意味では巣材を運ぶ行動の変形なのか?
ふだんは、カゴのなかで過ごしている。朝、昼、夕、に「お遊びの時間」がある。そのときは、カゴの外に出てくるのだが、カゴの出入り口が中二階のテラスのようになっている。
そのテラスへ、遊び道具のなかから選りだしたプラスティックのスプーンを運ぶ。
(くちばしで、くわえる)
べつになにをするわけでもない。
しばらくすると、またスプーンをくわえて、飛びたち、どこかの板の間などに着地する。
こんどは、スプーンを片足でおさえつけ、板のうえでカタカタと鳴らす。
しだいに、うっとりする(音に聞きほれているらしい)。
気がすむと、ふたたびスプーンをくわえて飛びたち、こんどはじゅうたんのうえへ運ぶ。
そこでは、こすれるような音しかしないが、それはそれで楽しいらしい。
スプーンをくわえて、飛びたたないこともある。ひきずりながが走る。
走っている最中に、ガラスの器(ゼリーなどがはいっていたもので、お遊び時間のオモチャになっている)にぶつかる。スプーンはバチがわりとなって、ガラスの器が鐘のように鳴る。
すると、こんどはスプーンをガラスにぶつけて音をたてる遊びに熱中する。
あきると、プラスティック製のプリンカップだの、椅子の脚(あし)だの、カゴだの、いろいろなものにスプーンをぶつけて、それぞれの音に聞き耳をたてる。
……というような一部始終を、
わたしはたいてい、電話ごしに聞こえる音として「目撃」する。
実家の母と電話をしている最中に、母のそばで、インコがあばれ回っているのである。
たまに、実家へ遊びにゆくとき、じかにこの「お遊び」を見物するのだが、
実は、わたしは「よそ者」なので、インコはかなり警戒する。
よそ者は、はやく立ちされと、云わんばかりの態度。
プラスティックスプーンがだいぶ古びてきたので、
きょう、新しいのを買ってきた。
だが、これを受けいれてくれるかどうかは、あたえてみないとわからない。
形状と色に、ひじょうにうるさい。
鳥類は、ふつうに理解されている以上に、たぶん賢い。