アパタイト(Apatite)
またの名を燐灰石。その昔、狐火(きつねび)と呼ばれる現象をひき起こしていたのもこのたぐいの石だ。
燐をふくむ石は、しばしば自然発火する。
ただ、ふつうには茶褐色や緑色のものが多い。
でも、耳猫風信社の標本であるからには、青でなければ(笑)
この麗しいアクアブルーの標本は、まさに小粒のドロップのなかに、まぎれこませるのに、うってつけ。
『天体議会』で、水蓮の目のなかにあった異物も、こんな石だったのでは、と連想してしまう。
これなら、鷹彦でなくとも、うっかり口にしてしまうにちがいない。
少年の睛、と書きたくなる石だ。
イーハトーヴ童話の「序」で、
これらのちひさなものがたりの幾きれかが、おしまひ、あなたのすきとほったほんたうのたべものになることを、どんなにねがふかわかりません。
と書いた賢治は、林や野はらにあるものを、お菓子にたとえてみせた最初の人でもある。
賢治がどんなふうに「お菓子」を表現したかを、『お菓子手帖』のなかで、すこしだけ検証してみた。興味のあるかたは、ごらんいただければ幸い。
エピローグとして書いたので、ささやかな内容となっている。機会があれば、もっとたっぷり論じたい。
つぎにご紹介するのは、
グリーン・タルク
タルク(Talc)といえば、タルカムパウダーを思い浮かべるとおり、ふつうは白い。
でも、こんなみごとなアイスグリーンのタルクもある。
薄さ、を実感していただこうと、横向きの画像に。
とってもうすくて、軽い。
裏返して、うっとり、のバックシャンでもある(笑)
裏のほうが、飴っぽい。
カゲロウの翅(はね)を重ねあわせたような繊細さ!
板状のゼラチンの、ごく薄いものも、こんなふうだ(色は透明だけれど)。
ミント味を連想してしまうが、
ひとひねりして、マスカット味なんてこともありそう。