このウォーターメロンカラーの標本は、
ゾイサイト&ルビー。
ゾイサイト(Zoicite)は、きのうご紹介した緑閃石の仲間で、緑色の部分。
この仲間は、みんな玻璃光沢(がらすこうたく)のある、繊維状の結晶をもっている。この標本では、緑色の濃いところは角閃石←賢治の「楢ノ木大学士の野宿」では、鉱物を擬人化したホンブレンという人物として登場する。
紅いところは、もちろんルビー。
だから、スイカを連想させるこの石は、箱いりのマスクメロンなみの、豪華な贈答品にもなるのである。
とはいえ、だれも、こんなめったにない標本を見つけたら、贈りものにはしないだろうけど。
鉱石菓子蒐集家には、はずせない逸品である。
きのうご案内した、緑閃石もそうだが、
耳猫風信社のスタッフもわたしも、
ほんとうは自分の標本箱におさめたいところを、ぐっとこらえている。
欲しいものを、ぜんぶ自分のものにしていたら、スペースも資金も足りなくなるから(笑)
でも、あちらこちらの標本市やフェアをまわっているからこそ、
めったに出ない石というのも、よくわかる。
似て非なるものは、あるけれども。
いくら名前が同じでも、フォルムや配色がちがっていたら、それは別もの。
岩手にて、賢治の足跡をたどりつつ感じたことでもある。
いくら賢治の地元であっても、
「ここでその名称を名乗ってはいけないぞ」という場所や店が山ほどあった。
記念館の鉱物標本は、なんというか……。
石材屋の見本のように、ぜんぶ同じ大きさに、そろえてある。
これでは子どもに、鉱物のおもしろさは、伝わらないだろうな、と思った。
山のほうへ道をそれるとすぐに「熊に注意」の立て札が目につくので、
賢治の歩いた道をたどることもかなわず。
記念館のテラスからのながめが、ひじょうによかったことだけが収穫だった。