葡萄石(Prehnite)
以前に、マスカットのように大粒の結晶の葡萄石をご紹介したが、
この標本は、ごく小さな結晶があつまった葡萄石。
そもそも葡萄石というのは、
マグマが冷えてかたまった火成岩(玄武岩、安山岩など)のなかの空洞にできる結晶が、あつまって葡萄状になったもの。
ケーキをつくるときのメレンゲと似ている。
よく泡立てたメレンゲの泡をつぶさないように、さっくりと生地に混ぜあわせる。
そのかげんで、ケーキの焼きあがりもことなってくる。
ちょうどそんな具合に、混ざりあい、練りこまれる条件によって、さまざまな鉱物が生まれる。
表と裏の姿もちがう。
米粉を、ひも状にして(あるいは、はるさめを)素揚げしたような、さくさくとした口あたりを連想する面と、
餅菓子の表面の砂糖がかたまって、カリカリとした食感をたのしめそうな面と。
紫外線に弱く、日光で退色する。
この標本は、淡い緑色なのだが、撮影すると輪郭がぼやけてしまうので、
バックに少し色をさしてみた。
とても軽くて、繊細。
メレンゲのように、あつかってほしい。