わたしは信心がないもので、
命日というのをまったく気にしていなかったのだが、
偶然にも、さきに「くるみの化石」をアップした日が、まさに賢治の命日で、
地元では、イギリズ海岸を出現させる、というイベントがおこなわれいた。
(あとになって人づてに聞き、ネットを検索)
周辺の5つのダムの放水を一時的に止めるという、大掛かりなもの。
それによって、川底の泥炭層が10年ぶりに出現したのだそうだ。
人工的にあらわれた「イギリス海岸」だが、表面が燥くにはいたらず、
賢治がドーバー海峡の白亜の断崖にたとえた白さまでは、
再現できなかったらしい。
ふだんから川底に近づくことができれば、
いまでも、くるみの化石を拾うことはできるのだろう。
川のなかから自分で化石を発見するのは、格別のたのしみでもある。
わたしは、6歳のときに塩原(栃木)の川で化石を採集した。
なんの変哲もない石を、おとなに手伝ってもらいながらふたつに割ると、
木の葉の化石があらわれた。
それが化石との初対面だった。
そのときの木の葉石は、そのほかに採集した石とともに標本をつくって
2学期がはじまると学校へ持っていった。
教室に展示しているあいだに、木の葉石だけ消えた。
めぐりめぐって、
今でも、だれかの標本箱のなかにあるのかもしれない。
それなら、いいけれど。