台風が過ぎた朝、
窓をあけたとたん、金木犀のかおりがした。
嵐が過ぎるのを待って花が咲きだしたのか、
あるいは、数日前から咲いていたのを、わたしが気づかなかっただけなのか。
このかおりがしてくると、秋だなあ、と感じる。
金木犀にすこしおくれて、銀木犀も咲きだすのだが、
この花の匂いは金木犀よりずっと、ひそやかなので、気づきにくい。
花の在り処(ありか)もみつけにくい。
金木犀も、花のすぐそばより、すこし離れたところのほうが、よく薫る。
だから、よその家にあればじゅうぶん。家になくても。
(銀木犀は家の庭にもあるのだが、まだ一度も花が咲かない)
ようやく衣がえを。
ところが、その最中に暑くなり、まだまだ夏ものをぜんぶ片づけるわけにはゆかなくなった。
少し残しておくと、けっきょくそれが冬ものにまぎれて春までひきだしのなかに。
夏から秋、冬から春への季節の変わり目の服は、
同じような気温に対応しているものだから、素材はほぼおなじ。
でも色がちがう。
なんとなく、秋口には春先のニットような、あかるい色が似合わない。
茶系のほうが、着ていて暖かい気がしてくるから不思議だ。
一年中、白を着る、という人もいるだろうけど。
わたしは、白いニットなどは年があらたまるまでしまっておく。
新年に、白を着ると、あたらしい気分にもなる(それが新品でなくとも)。
カーテンも洗い、さっぱりした、と云いたちところだが、
実は窓の掃除がまだ。
蚊がいるので、できない。
でも、まもなく寒くなるので、これまた窓拭きはつらい。
そう云って、去年の秋口にもサボった。
今年は、なんとか年末までには、と思っている。