クリスマスの緑のモールでできた帽子、といった風情のこの標本は、
水亜鉛銅鉱(Aurichalcite)という聞きなれない名前の持ち主。
微細な結晶は、コケが密生しているような質感をあらわしている。
やわらかさといい、派手な緑色といい、
鉱石らしからぬ姿が、なんとも可愛らしい。
云うなれば、緑の王国の王のかぶりもの。
透輝石(Diopside)
その名のとおり、光を透かしたときのエメラルドグリーンが魅惑的だ。
影もまた、緑色をしている。
反射光では、暗緑色なので、
光にかざしたときの変化に、いっそう驚かされる。
とても小さい標本だが、そのなかに密林をかかえこんでいるようで、
光のかげんでさまざまに変貌する緑を堪能できる。
こちらはおなじみのイングランド産のグリーン螢石を
透過光でながめたところ。
光を透かしたシフォンのような色合いが魅力的だ。
この標本の特徴は、太陽光と紫外線でそれぞれちがった発色をすることだろう。
まずは、太陽のひかりをあびせる。
すると、うっすらと紫色にかがやくところがあらわれる。
まさに、紫の秘めごと、といったふうで(笑)
ミネラライトなどで紫外線をあてると、青緑色になる。
自然光でながめると、こんなふうに、
うっとりするような緑色にかがやく。
角度によって濃淡があり、あれこれ向きを変えてながめるのもたのしい。
ひとつで、なんども「おいしい」標本である。