リシア雲母
この標本を目にしたとき、
子どものころの、ひな祭りのさいに見かけた菱餅や花びら餅のことを
思いだした。
昔の菱餅は、うすい餅が何枚も層になっていて、
それを、はがしながら食べていた。
(ほんとうは、重なったまま口にするもの。ミルフィユとおなじく、行儀よく食すのがたいへん困難)
マゼンタピンクにホワイトをまぜて白っぽくしたような色あい。
絵の具の場合と同様に、
よくまじりあわず、モアレができる。
横からのぞく。
餅より、ずっと繊細なミルフィユ状になっている。
天青石
母岩が褐色なので、見慣れた天青石とはちがったイメージである。
トルクメニスタン産と知れば、
シルクロードの旅へと妄想がひろがる。
カスピ海とカラクム沙漠の国から、やってきた石だ。
透明度のたかい結晶が、あつまっている。
氷のかけら、玻璃のかけら、
もっと細い、蕀(とげ)のような結晶もまじる。