伝統菓子の「おこし」にそっくりな、こちらの標本も、
コバルトカルサイト。
砒コバルト鉱の黒い粒々が、そのまま残っている。
黒ごま風味の、おこしといったところ。
おこし、と云えば、
わたしの場合は、まっさきに浅草名物の「雷おこし」を思い浮かべる。
これは、サクサクとやわらかく、食べやすい。
以前に、大阪のおみやげに「粟おこし」をいただいて、
その手強い「かたさ」におどろいた。
これはもしかして、岩石? みかげ石?
「岩おこし」と呼ばれるのも納得。
灰礬ザクロ石
こちらは、紅いあられのまじった、おこし。
あるいは、クランベリーか紅いカシスの果実の粒々がのった砂糖菓子。
黒糖、または紅砂糖をつかっているので、
生地が純白ではないところに素朴な味わいがある、
なんて理屈をこねてみたくなる。
生地ならぬ母岩は、変質石灰岩。
いったん高温になったものが、冷えてかたまったのだなあ、
というのがたやすく連想できる。
(グツグツと沸騰したなごりがある)
古風な布といっしょにあしらうと、
「祖母からもらったブローチ」という、
どこか懐かしい趣(おもむき)に。
魅惑的な紅い色が、
まさにザクロの色である。