紫石
このたびの仕入れでは、ナミビア産の鉱物がいくつかある。
これもそのひとつ。
紫石という。
ありそうで、なかった名称だ。
すみれの花を、朝摘んで、そのまま保存したような、
しっとりとした感触がある。
あるいは、紫の翅(はね)の蝶が、休息しているような。
鱗粉風の光沢がある。
紫のサテンの生地にひだをよせると、反射の色が紅く見えることがある。
この標本も、ときとしてそんなふうに紅い反射を放つ。
その場面を、どうしても撮影できなかったのだが、
想像していただければ、と思う。
今まで、産地としては目立たなかったナミビアだが、
業者が新規にルートを開拓したのだろう。
今回は、期間中にいくつかナミビア産の鉱石をご紹介する。
紫水晶
これはまさに菫の花を思わせる。
ころん、としたかたちが、可愛らしい。
ぼかしの色も、いい具合だ。
フルーツキャンディのような標本。
ご存じイリノイ産の、
色よく、かたちのよい螢石。
グリーン螢石は持っているけれど、
青系の、ポピュラーな標本は持っていなかった、という人におススメ。
このたびは、きれいな色がそろった。
うっすらとしたと紫の透明感が麗しい螢石。
ひとあし早く咲いた、あじさいの花にも似て。
光の具合で、ぼかしが変化する。
春先の地面で、
小さくて目立たない紫の花が咲いていることがある。
近づいてみると、紫と白の配色がとてもモダンである。
スミレの花が蝶型なのにたいし、
こちらは鳥が翔んでいるよう。
ゴマノハグサ科のどれかなのだ。
ムラサキゴケとか、トキワハゼの仲間。
そんなふうに早い春に咲く花に似た標本だ。
これも螢石。
結晶のなかに白い筋が2本ほど見える。
カタカナのイのかたちにならんでいるのが、わかるだろうか。
これは画像のキズではない。
この部分は、光を反射しているのだ。
それだけ、結晶のエッジが鋭く繊細だということ。
「文藝」の原稿が、ようやく終わり、
ひと息、といったところだが、
すぐつぎの締め切りがせまっている。
というわけで、標本もまとめてご紹介しているが、
産地や性質の詳報は、通販ページでご確認を。
あすは天気が荒れるらしいので(雷雨だとパソコンを起動できない)
きょうじゅうに、もう一度標本のご案内をするかも。