灰礬ザクロ石
(アメリカ・カリフォルニア州)
タルトの表面をキャラメリゼしたかのような、
この色合いと光沢。
24面体のザクロ石の結晶の特徴そのままに、
光のあたる角度が変わるままに、かがやきも変化する。
トロリ、とながれだす、
できたて熱々のキャラメルシロップのような標本だ。
灰礬ザクロ石
(アメリカ・カリフォルニア州)
上の標本とおなじ産地で、おなじ人物が手掘りしたもの。
手で掘るからこその、掘りたて!のようなかたちに味わいがある。
こちらも、鍋で煮立てた自家製キャラメルを、
ワックスペーパーにトロリとたらして冷やし固めた、
そんなかたちが魅力だ。
灰礬ザクロ石
(中国産)
きょうは灰礬ザクロ石のさまざまなバリエーションをご案内する。
スイーツにたとえるなら、
煮立ててあわだったところを、
そのままかためた琥珀糖といったところだろうか。
灰礬ザクロ石
(中国産)
すぐ上の標本とおなじ産地でとれた、色ちがい。
わたしはこれをながめているうちに、
うぐいす豆を連想した。
青豆を煮詰めたものの総称だ。
近ごろは、近所に豆屋さんというものがない。
自分でコトコト煮るひまもない。
だから、都会に出かけたときにデパチカなどで買ってくる。
煮豆のような庶民の惣菜(そうざい)も、いまやデパートで買うものに・・・。
(自家製をつくればすむことだけれども)
灰礬ザクロ石
(マリ産)
黒々とした標本だが、おまけがついているのがご愛嬌(あいきょう)。
小さくてころころとしたかたちがユニーク。
光のぐあいで、臙脂(えんじ)色をおびる。
べつにどうということもないのに、笑える。
ながめるたびに、そのとぼけ具合に脱力する標本というのも、
この緊張した世の中には必要かも。
両錐水晶
(中国産)
なまえのとおり、
両端がとがった結晶をもつ水晶の標本。
涼をよぶ、氷菓子の風情。
冬の凍てついた木立を、真夏に愛でるガラス細工のようでもある。
黒くみえるのは、炭素。