『野川』が単行本になる(7月刊行/河出書房新社)のにあわせ、
しばらく野川のことを書くことにする。
……といっても、実はこの季節はほとんど散歩をしない。
暑いうえに、各種の虫に刺されるから。
虫よけスプレーにかぶれるため、予防もできず。
歩かないのがいちばんだ!ということになる。
原稿で家にこもっている最中でもあり、
今回の野川画像は、
まったく土地勘のない人に、適当に野川ぞいを歩いて撮影してもらったもの。
今さらながら、写真というのはフレームなのだな、と実感。
「視る」人の主観(フィルター)が風景をつくるのだ。
まさに、今回の小説の主題のようだ、と思ったしだい。
見慣れた場所のはずが、
ほとんどの画像の撮影地を特定できない。
ここはどこ?
の世界なのである。
撮影者のメモ(撮影地点の目印などが書きこんである)を読んでも、
ピンとこない場所が多数。
この画像から、「野川」を連想するしかないほとんどの読者のかたにとっては
なおさら
風景は欲望によって「つくりだす」ものであると、
実感できるだろう。