ベニト石&海王石
青い船がゆく。
これはもう、名称からして涼しげな標本だ。
そのうえ軽い。
アオアズマヤ鳥(本来は、アオアズマヤドリ)が、
くわえて翔ぶことのできる重さだろう。
だから、もし道端で見つけたら、
いそいそと、持ち帰るにちがいない。
だが、この標本の産地はカリフォルニア。
アオアズマヤ鳥の棲息地はパプア・ニューギニア。
うっかりした人が、現地で標本を落としでもしないかぎり、
彼らが目にすることはないだろう。
でも、もしアオアズマヤ鳥が目にすれば、
われわれが肉眼で見る以上に、ピカピカの青に見えるちにちがいない。
ちょっと拡大してみる。
この青い船の舳先(へさき)がベニト石で、
チタンによって青く螢光する。
(右端の部分)
海王石は、船の積み荷のような結晶のほう。
鉄とマンガンを成分とするので、
本来は黒褐色といった色なのだが、
ネプチュナイトという名前のせいなのか、
まわりのベニト石の反射にまどわされるのか
(たぶん、そうにちがいない)
海王石の名にふさわしく、いつだって紺青にみえる。