バライト(重晶石) /ペルー産
ひとつの影もなく、どこまでもつづく沙地では、
ときには光のたわむれさえも、
なにかをかたちづくろうとするものだ。
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
東方では、
とこしえに生きる大いなる貝の吐息が、
虹をこしらえるそうだ。
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
1千万年前のホタテ貝の化石 / スペイン産
巡礼者があるいた道には、
足跡のように、貝殻が落ちている。
まぶたを閉じて耳をすませば、
彼らの胸もとでゆらぐ貝の音が、
聞こえるようだ。
土地の子どもは、
これを鳩のたまごだと云う。
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
石膏化した貝化石 / オーストラリア産
巡礼者の一行が、
沙の稜線をあるいている。
わたしははじめ、そのように思った
風に訊く
彼らはどこまでゆくのかと。
しばらくして、
わたしはそれが、墓標であることに気づいた。
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
サボテン水晶 / 南アフリカ
はるかに塔が見えている
熱い沙を越えて、そこまでゆく
それは遠い昔に栄え、
遠い昔に消え去った王国のなごりであるという。
そこに名を刻まれた王のことを
だれも知らない
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
王のひざもとでくつろぎ、
小さな種を炒る
この種は、熱すると香ばしく匂いたち、
かくべつな飲みものになる。
さいわいなことに、
わたしは心よりやすらいでいる。
(旅人の詩編「船」Ⅱ)
by kotorico-nagano
| 2011-01-11 05:48
| 鉱物・化石
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