曇り空。
いつもの朝よりは、少しだけ寒さがゆるんでいる。
2012年の幕が開けた。
いただきものの福茶を一服し、
新年を迎えた。
今年は、近ごろお気にいりの標本の画像から
はじめよう。
別名ぶどう石と呼ばれるとおり、
房状に結晶が連なる銀星石ではあるけれど、
こんなマスカットカラーの標本を
これまで目にしたことはなかった。
熟成が進みすぎて、
いくぶん腐りかけているような、
そんなところもいい。
この標本を売っていた店のスタッフによれば、
これは、あるコレクターの遺品が放出されたことにより、
市場に出まわったもので、
現在、こうした標本を採取できる場所があるわけではない、
とのこと。
うまいなぁ。
そう云われたら、「買っておかなきゃ」と
思ってしまうではないか。
ぶどう石の標本にしては、お高い価格だった。
迷っているところへ、先のひと声。
「あのころのデパート」風に解説すれば、
お客様の「買う気」をひきだす的確なことばを
かけることは、販売員の重要な技術なのだ。
耳猫風信社のための買いつけにいって、
ときおり、
こうして自分のコレクションにしてしまう
ことがある。
なるべく、「がまん」しているけれども。
ただ、わたしは標本の入れ替えをおこなうさいに、
十分楽しんだ石を手放すことがある。
こうした標本も、
いずれはわたしの手から、またべつの人の手へと
渡ってゆくだろう。
いましばらくは、
地球からの贈り物として、手もとにおいて
楽しみたい。