お正月の東京は晴天がつづいた。
乾燥するこの季節は、
景色の見通しもよい。
地元の総合医療センターを訪れた。
(目的は省く)
武蔵野の高台にある。
そこの10階ラウンジから、スカイツリーが見えた。
それも、部分的にではなく、
かなり下のほうからてっぺんまで。
武蔵野台地のはずれとスカイツリーのある業平を、
直線で結べば40キロほどの距離だと思う。
むろん、
新宿副都心やそのほか都心部の高層ビル群も見える。
景色は圧縮されていて、
新宿も六本木も丸の内も
すべておなじ地平線上に乗っている。
(池袋のビル群は北東方向へはずれている)
東京の地形は、都心部へ向かって急激にくだってゆく。
武蔵野台地と湾岸地域の標高差は80メートル以上あり、
さらに病棟の10階分の高さが上乗せとなる。
家並を海面に見立てれば、
太古の東京の姿を目にしているよう・・・。
この高低差だからこそ、
はるか遠くのビル群や
スカイツリーの足もとまで、
見通せるのだろう。
現実のものではない、
蜃気楼をながめているような気分になる。
この医療センターは平成22年度に建てかえられたばかり。
訪れてみて、施設の充実ぶりにおどろいた。
過去に大病をしたことのないわたしは、
入院経験がなく、
見舞いでもなければ、
総合病院に足を踏み入れたこともないのだけれど、
イマドキの医療施設には、あらためてびっくり。
センター内にコンビニ、カフェ、レストラン、ATMがある。
エントランスも通路もひろびろとしている。
吹き抜けで、あかるく、ゆったりとして、きれい。
小児医療センター、
小児ERも隣りあっている。
子育て世代にとっては、安心の環境だろう。
もより駅のマンション群が、日々増殖するのもうなずける。
3連休のあいだにもモデルルーム公開中の広告が
新聞の折り込みとして複数入っていた。
この場所が、
昔はうっそうとした森で
そのなかに陰気くさく病院があったことを
知っているわたしとしては、
激変ぶりにおどろくばかり。
かつての森は、もうほとんど残っていない。
医療センター内の木々のあいだを、
鳩の群れが飛び交っていた。
鳥たちにとっては、もう求愛の季節のようだ。