これは、1994年に単行本となったものですが、
まだ文庫になっていなかったのです。
新潮文庫にはいりました。
単行本のときには、
わたしが装画(および挿画)を描きました。
しかし、
昔のままで出すのは、
なんとなく古めかしすぎる気がして、
(わたしの個人的な印象)
今回は新しいカバーを
加藤木麻莉さんに描いていただきました。
黒地に浮き立つ花鳥が麗しい
濃密でいて、軽やかなしあがりです。
長く蔵のなかにしまわれていた絹織物のような
奥ゆかしさと
鮮やかな色調のモダンさと。
解説は松本侑子さんに書いていただきました。
この本を文庫になってはじめて
手にとる読者のかたの、
道しるべとなるよう、
一話ずつ、読み説いてくださっています。
本文は、
昔のままに耽美です。
ちょっと息苦しい場面のつづくところが
閉塞感に満ちていた90年代の作品らしく・・・。
手直ししようかと思いましたが、
部分的に手をくわえるのはむずかしく、
文字遣いをあらためるにとどめました。
文庫ですので、ルビを少な目にと思い、
漢字をだいぶひらいています。
凝った漢字遣いをしていた90年代の作品が
好きな読者のかたには、
「ひらきすぎ」と思われてしまうかもしれませんが、
ううむ~、
老眼だとルビがねえ、どうも読みにくいのです。
・・・そういう理由ばかりではありませんけれど。
お知らせをもうひとつ。
『八月六日上々天氣』がラジオドラマになります。
8月4日(土)NHK FM
よる10時から10時50分
詳細は耳猫風信社のサイトなどをごらんください~。
by kotorico-nagano
| 2012-07-29 08:30
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