夜明けが早くなった。
午前4時にはもう朝焼けがはじまる。
午前5時ともなれば、もうすっかり明るい。
みずからの声に酔いしれているかのような、
高らかなイカルの独唱が聴こえてくる。
独特の節まわしと、よく通る声の持ち主。
男唄(たぶん)が、5分ほどつづいた。
短いフレーズのくりかえしではなく、
即興詩人のように、気分を盛りこみつつ唄いあげる。
昔から、声はよく聴くけれど、
姿を見ることはまれ。
山地で暮らしているはずだが、
ときおり、街のなかの緑地帯へも遠足に来るようだ。
だから、一年のうちに数回だけ声を聴くていど。
めずらしいので、こちらも聴きほれた。
それにしても、
このところの気温の上下のはげしさは、
困りもの。
商業ビルのエアコンも
前日は暖房、きょうは冷房という極端なことになる。
ただし公共施設は「ころもがえ」まで冷房はOFFなので
この季節の図書館は暑い。
目的の本を見つけたら、そこで読まずに、
ひとまず借りて、併設カフェへ移動。
そちらも冷房は入っていないけれど、
人口密度がちがうので、暑さもほどほど。
(図書館の閲覧室は、なぜか「寝る男」が多くて、
目ざわりであるし、暑苦しい)
カフェラテを飲みながら本を読んでいたら、
近くのテーブルに、やや声の大きいグループがいて、
話が聞こえてきた。
「朝食を食べてくる子と、そうでない子の成績には、
はっきりちがいが出るの。睡眠時間がちがうということでもあるのよ。
日本の子どもの就寝時間は、世界的な標準とくらべて極端に遅いの。
幼児でも九時、十時はザラでしょう。
遅くまで起きている子どもは、
たいていゲームに夢中になっているでしょ。あれは、脳をダメにするの。
認知症の人と同じ脳になるのよ。」
まだまだ、独演はつづいた。
わたしは「早寝早起き、朝食もきっちり食べる」子どもだったけれど、
あのころは、みんな朝食を食べて学校に来ていたので、
わたしの成績は(朝食とは関係なく)よくなかった。