もう何度めかの文句だけれど、
キッチンやバスルーム関係のコモノたちは、
どうしてあんなに、突拍子もない色をしているのだろう。
パッケージで「これは便利」「こんなものほしかった」
「ありそうでなかった」などのコピーをならべて
気をひいたうえで、
「よく落ちる」「よく切れる」「ぴかぴかになる」
「すきままでスッキリ」などなどと特徴をあげる商品には、
なるほど、あれば役立つかも、と思えるものが多い。
わたしは非力なうえに不器用なので、
「かんたん」「らくらく」ということばに弱い。
だがしかし、それら製品の色彩は理解不能なのだ。
カラーバリエーションが豊富な場合も、
どれもこれも、身辺には置きたくない色ばかり。
今年はとくに、ビビッドカラーが旬だとかで、
最悪な状態だ。
〈今年はこの色〉と繊維業界で統一色をきめて、
その色に染めた布地を商社が大量に流通させるため、
あらゆる繊維製品がそのカラーでつくられる。
消費者に選択の余地はない。
たとえば、その年の流行のフォルムの服を着ようとすると
〈今年はこの色〉ときめられた色の服しかない。
もう、ずっとずっと昔から、このシステム。
あたかもそれが消費者のニーズであるかのように宣伝するけれど、
そんなことはない。
あんなトマトかレモンみたいな色の服を着て歩けるのは、
若者のごく一部だろう。
で、服飾方面のカラーに準じて
家庭用品までが、今年はトマトレッドやレモンイエローになっていて
定番品は、シリコン製品が大量に流通するようになって以来の
ピンクやオレンジやパープルなどの花盛り。
モノトーンおよび、
アースカラーやナチュラルカラーが好きな人は
いつの時代も一定数いる。
〈少年もの〉好きの人たちが、いつの時代も一定数いるように。
だから、少数派アイテムとしての
ナチュラルカラーのキッチンツールは、
あるべき店に行けば手に入る。
しかし、なんといっても少数ロットでつくられる製品は価格が高い。
日用品には、許容できる価格帯というものがあるのだ(わたしの場合)。
くわえて、ちょっとした買い物のついでに手に入るくらいの、
買いやすさ、も必要。
特定の店でしか扱っていない、というものでは困るのだ。
(そろそろ交換時期だな、と思いだしたときに買いたいから)
というわけで、水仕事用のゴム手袋、スポンジ、ボディタオルのたぐいは、
いつもいつも目につくものなのに、
気に入らない色ばかり。
身辺にヘンな色のものをいっさい置きたくない審美眼の際立った人は、
こんな妥協しないだろう。
でも、悩ましいのは
ヘンな色の製品をつくるメーカーの各商品が
しばしばその性能では、ほかの同一品より優れている点なのだ。
性能をとるか、色をとるかで悩む場合、
わたしは性能をとる。
時間の節約になるから。
高性能で、まともな色彩で、ふつうのお値段だったら、
文句なしにそれを買う。
そういう商品をつくってほしい。