平等院は、ずいぶん昔に行ったきりです。
このたび、サントリー美術館にて
平成修理完成記念の
「天上の舞 飛天の美」展を開催中。
クリスマスに
天使ならぬ天人さまを拝んでまいりました。
ふだんは天蓋の高見や光背のなかにいる飛天たちを、
目の高さで拝見できる機会です。
お顔だち、手指のかたちまで凝視できました。
雲に乗って疾走する飛天たちの
優雅な背中にほれぼれしたり、
立膝の凛々しい姿に見とれたり。
迦陵頻伽は、お顔と胴体が人の姿で、脚は鳥。
羽もあります。
羽の表現は、天使そのものです。
シルクロードによって東西が結ばれていたことを実感できます。
木彫がすばらしい。
繊細でありつつ、うねりと湾曲の力強い表現に、
しばし足をとめてしまいました。
横からながめると厚みのある一枚板を彫ってあることがわかります。
(これは中尊寺蔵のものです)
雲中供養菩薩像の模刻のうちのひとつには
実際に手を触れることもできます。
いわゆる「おさわり」ですね。
ありがたく、触ってまいりました。
また彩色復元した飛天の模刻もありました。
これは、一昔まえのデコレーションケーキ。
フレッシュクリームにピンクやグリーンでカラフルトッピングをしたかの
ようでした。
やはり、すっかり彩色が褪色してしまった状態のほうが、
凛々しくて好きです。
中尊寺経の保存状態のよさにもびっくりです。
紺紙金泥というもので、
和紙に藍を塗った紺藍の地に金字で写経したものです。
12世紀に書いたものが、
褪色せず、虫食いもなく、瑞々しい藍色とかがやく金を
残しているいることに驚きました。
大切に伝承されたことももちろんですが
藍の殺菌効果もあったのでは、と思われます。
実際のところは、どうなのでしょう。
図録は購入せず、館内のイヤホンガイドも利用しなかったので
詳細はわからないのですが。
金銀螺鈿で装飾された平等院の天蓋・方蓋の模造(部分)も
展示されていました。
わたしが訪ねたときの平等院は金色に耀くところではありませんでしたが
(十円硬貨の刻印そのままの、渋いイメージ)
全体で極楽浄土を表現している平等院なのですから、
往時の堂内は螺鈿の虹の反射と鍍金のかがやきで、
万華鏡のようであったろうと、思います。
模造の螺鈿の虹をながめつつ、あれこれ妄想してみました。
古の人々は、目もくらむほどに恍惚となってみあげたにちがいありません。
帰りがけ、
サントリー美術館のある東京ミッドタウンの
アトリウムのディスプレイをみあげて、
ちょっと古人の気分になってみました。
金銀が舞い降りてくる装飾で、
なかなか巧い演出だと思いました。