またもや入試問題の話ですが、
秋田県の教育委員会より
たいへん丁寧なお手紙を頂戴しまして、
高校入試の試験問題に「鳩の栖」が採用されたことを
知りました。
秋田県には「入試問題になったのが新聞に載っていたわよ」と
教えてくれる知人がいないので、
集英社さん経由で報告があるまで、知らずにいたのでした。
よく練り込まれた手強い問題でした。
どれもわずかな文字数で答えるようになっており、
心を落ちつけて問題文を読まなければ、
正答にたどりつけないのです。
入試というと、ふだんより心が浮足立っているわけですから、
なおのこと、むずかしく感じられるにちがいありません。
「鳩の栖」はわたしも大好きな作品ですので、
入試問題というかたちでも、未知の読者に読んでいただけるのは、
うれしいことです。
現役の中学三年生だったときの記憶がよみがえりました。
入試の3教科のうち、国語でしか点数の稼げないわたしにとって、
国語はたいへん重要でした。
長文問題は随筆が2題。
何度も読み返したので、おおよその内容をいまも覚えています。
小林秀雄さんの「兼好の〈厭世観〉について」と
仏文学者のかたの「エスプリとユーモア」でした。
当日はなんだかとても調子がよく、
国語はかなり自信を持っていましたし、
苦手の数学も、ふだんより「できた」気がしたものでした。
はるか昔のことなのに、
カーテン越しの光の具合や
斜めまえの席の生徒が、花柄のブラウスを着ていたことや
スチームの音などが思いだされます。
入学式で、その花柄のブラウスの人が新入生のあいさつをし、
トップ合格であったことを知りました。
この春、新入生になられたみなさんは、
新鮮で晴れやかな日々を過ごしていらっしゃるのでしょう。
入学、おめでとうございます!