タチ映画祭は、過去にも何度か足を運んで、
おもだった作品は、だいたい観たつもりでしたが、
デジタルリマスターの映像を目にして、
これは観てこなければ、と思いました。
古いフィルムで観たぼけぼけの映像とはまるでちがう!
しかし、時間に余裕がなく
いちばん好きな「プレイタイム」だけ観ることにしました。
ゆったりと始まります。
雲がちに晴れている空のうす青さと
もやもやとひろがる雲の色合いに
のどけさが募ります。
フランス人から見たアメリカ人観光客とは
こんな感じなのかしら?
花畑のような「お帽子」で着飾ったご婦人たち。
フランス人の耳に響く英語は、
こんなふうなのね、と思わせる
ガムのように、のび縮みして、
どこで切れるのかよくわからない言語が
空港らしきビルのなかで聞こえています。
団体客が観光するのは、なぜか国際見本市のようなところ。
貸切バスがつぎつぎに到着。
アメリカ人のご婦人たちは、どのグループも
ハデハデに着飾って毛皮を巻きつけています。
おなじみの、あの団体もいます。
全員、喪服のような黒のスーツでめがねで男で背がひくく
首からぶらさげているのは、もちろんカメラ。
この記号はタチの「目」でも変わらないのですね。
こんなに長い映画だった?
というくらいに、
これでもか、とナイトクラブでの騒動の場面がつづきます。
でも、そのあとに目当ての数分間のラストシーンがあるのです。
このたびもまた
「なんど観ても泣けるなあ」と思いつつ堪能しました。
モダンということばが、生きていた時代の
モダンそのものの映画。