ようやく時間ができたので、観てきました。
なにもかもウツクシイという評判どおり、
映像も役者も衣裳も音楽も、
過剰すぎず、かといって静かすぎるのでもなく
ほどのよさが際立つ映画でした。
ショーの場面は、さすがに圧巻で見応えがありました。
60年代の女の人たちは、なんと細いことよ、と思いました。
70年代は、モダンかつ野蛮で。奔放ながら気品があり。
半世紀まえの街並みを再現するのは、
パリならば可能かも、と思いつつ、
人々の身のこなし、ふるまいかたを再現できるのは、
優れた役者だからこそ。
外国人のわたしどもには、
なじみのない俳優ばかりなのも、新鮮でした。
フランスの実力派ばかりそろえたと
プログラム(このたびは、ちゃんと購入できました。
画像は、おまけのハガキです)に書いてありました。
イヴ・サンローランのロゴマークは見慣れたものですが、
ライセンス契約した小物(化粧品やインテリア用品)さえ、
一度たりとも手にしたことがないくらい
無縁のブランドでした。
映画はそうした庶民にも、シックとエレガンスのありようを
理解できるつくりになっています。
長身のモデル、ベティ役の人は、わたしたちがイメージする
70年代の女の人を、カッコよく演じていました。
主演のピエール・ニネはYSLのロゴを
「服のサイズだと思っていた」とか。
そんな話がプログラムに載っていましたが、
こうしたエピソードにも役者としての
サーヴィスが行き届いていますね。
(劇場にゆくと、本編の上映まえに
日本のみなさんへ、というメッセージフィルムがあります)
エスキースをしているさいの鉛筆の音が心地よかったです。
鉛筆はステッドラーでした。
(実際もそうだったのでしょうか?)
その場面でイヴが着ているシャツが、またなんとも。
ふつうのポロではなく、鹿の子の生地。
もちろん、アトリエでの白衣姿も秀逸。
白衣に悩殺されるタイプの人には云わずもがな、ですね。
映画に満足したのち、新宿の伊勢丹に買い物にゆき、
ついつい洋服を買ってしまいました。
もちろん、ハイブランドではありません。