この公演のホールは五反田。
ずっと以前にリンゼイ・ケンプ
――真夏の夜の夢――
をここで観たなあ、
と記憶を掘り返しつつも、
駅周辺のようすなどまったくおぼえがなく、
それらしき人々が歩いている方向へついていって
どうやら到着。
「ドラキュラ」とカタカナで案内板が……。
この気取りのなさに、いくぶんたじろぎつつ開場待ちを。
なぜパンフレットやネット配信している
〈DRACULA〉のロゴを使っていないのかしら?~と思いつつ。
昨年、マシュー・ボーン演出の〈DORIAN GLAY〉で、
はじめて大貫勇輔さんの名を知ったので、
ロミオとジュリエットから知ってるわよ、という人に比べれば
かなり出遅れているのだけれども、
去年のブログにも書いたように、
2011年くらいからしばらく家族の介護に追われていたので
各種パフォーマンスを堪能する気分ではなく、
「終わった~」と思ったときに世間を見まわしたら。
〈DORIAN GLAY〉が目についたというわけだったのです。
で、今回は〈DRACULA〉です。
大貫勇輔さんは、日本人離れしたプロポーションを持つ
ダンスパフォーマーなので、
このたびのようにバレエ団の客演として踊ると、
そのプロポーションの、ほかの人々とのあまりの落差に
べつの意味で目を奪われてしまうのですが、
それにもまして、長髪銀毛カツラに馴れるまでに
よぶんな脳内体力をつかってしまいました。
同行者とも、あの演出はなぜ~と
公演後に口を揃えたほど。
若者にしか見えないドラキュラ伯爵でよいはずでは~。
このたびは
〈DORIAN GLAY〉のときほど激しく動かないタイプの
踊りではあったのですが、
アクロバティックな場面では、
さすが!のダンスパフォーマンスを見せてくれまして、
会場を埋めていた若い女子たちも、大満足したことでしょう。
わたしのような、
80年代からダンスパフォーマンスを追っている中高年も、
もちろん、会場にはたくさん。
(まちがいなく、コンボイも行ってたわよね、的な人たち)
キャリーバッグをクロークに預けていらっしゃるかたもお見受けしたので、
たった2日しかない公演を、
遠方から駆けつけてご覧になったのでしょう。
リンゼイ・ケンプやフィリップ・ジャンティやシルク・ド・ソレイユなどを
楽しんで観てきた者としては、
海外のパフォーマーに伍して踊る日本人のダンサーが
あらわれるということを期待しつつも想像できなかったのですが、
「ああ、有り得るんだ」と実感させてくれるのが
この大貫勇輔さんです。
プログラムのトップページに
某政治家の顔写真つきコメントがあるのがね~。
芸術予算をつけてくれるのは、
ありがたいけれども。
どうせこの政治家たちには、
文化のツボはわからないでしょうに。
来月は、
「マシュー・ボーンと云えばアダム・クーパー」
のミュージカル「雨に唄えば」を観にゆく予定です。
アダム・クーパーは勇輔さんとは逆に、
クラシックバレエからミュージカルへとパフォーマンスの幅を
ひろげている、というわけです。
踊りは何度となく観たけれど、
(正しくは、おもに背中に見惚れていただけかも)
歌声を聴くのははじめてなので、楽しいような怖いような。
ちなみにわたしはジーン・ケリーの「雨に唄えば」も」大好きです。
もちろん、リバイバル映画で観たのであって、
リアルタイムではないですよ~。
あれをリアルタイム封切りで観たのはわたしの母世代~。