ビルの階段、団地の階段、神社の階段、高台の階段、
そうして螺旋階段。
仰ぎ観る、あるいは覗きこむ。
さまざまな階段の標本に、
意識をさらわれます。
どこかで観たことがあるような、あの建物。
でも思いだせない。
なんの話か、わかったかたは鋭い。
大分むぎ焼酎二階堂のCMです。
関東者のわたしは、深夜の番組を観ていて、たまたま、とか
なにかの番組の途中でスポット的に、とか
そういう機会でしか観ることのできないCMなので、
もっぱら動画投稿サイトをチェックしています。
そもそも、下戸なので焼酎はいっさい飲まないものですから。
秋から放映中の最新版には
”ふりかえると明日”というタイトルがついています。
二階堂のHPにはライブラリーがあって、
過去のCMのコピーやロケ地などが紹介されています。
”文字のかけら”
”天文詩人”
”消えた足跡”
”刻の迷路”
”未知の力”
”シネマグラス”
こうしたタイトルを読むだけでも、
わたしの読者のかたたちならば、
心を奪われるのでは。
それぞれの、音楽も実によいのです。
わたしにとっては、こっそりと愉しむものです。
くたびれたときの憩いです。
”夢で逢いましょう”編もよかったですね。
木造校舎、学校の廊下、学校の講堂、
円形に椅子がならんだところは、
ふと、羅須地人協会を思い浮かべました。
いつかどこかで観た、と思ってしまう風景ばかりですが
ロケ地は、徹底して九州各地です。
ですから九州の地を踏んだことのないわたしが
じかに観ているはずはありません。
(映像では、知らずに観ているでしょう)
しかし、九州のかたにとっても、
特定のフレームをつけて切り取られたこれらの風景は、
(知っている場所でありながら)
未知の景色となっているでしょう。
わたしの読者にとって
もっとも魅惑的なのはおそらく
”大地のささやき”編なのでは。
現在、動画投稿サイトの
ややぼやけた画像でしか観ることができません。
鉱物研究所
鉱物採集
鉱石ラジオ
鉱物標本室
これだけならべば、見逃せませんよね。
なぜライブラリーから外されているのか、
その理由も、投稿サイトでわかります。
問題は、少年が聴きいっている〈鉱石ラジオ〉でした。
これは、K氏のオブジェ
(わたしの読者にとってもなじみ深い)を
無許可で使用してしまったことによるそうです。
その後の、対応もまずかったらしく話しあいが頓挫。
企業側は「なかったこと」にしてしまったようです。
魅惑的な作品だけに、残念な話です。
螺旋階段に、妄想をかきたてられます。