先日、山梨県立文学館にて
トークイベントを行ってまいりました。
子どものころに好きだった本
&どうして小説家になろうと思ったか、という
テーマでお話をしました。
資料を作成しながら、
「ああ、こんな五十年まえの話をしてどうするの?」と
思いましたが、そのまま作業を続行しました。
文学館さんのほうで、わたしがリストアップした本のうち
書庫にあったものを会場に展示してくださいました。
見つからない作品も多かったようです。
半世紀も昔の出版物ですからね!
一部はロングセラーの作品として
現在も新装版がありますけれど、
多くは、いつのまにか消えてしまいました。
作成した資料のなかでも
とりわけ大きなイラストを描いたのが
エリカ・リレッグ作
『ベーバとベーバ』です。
現在、わたしの手もとにもありません。
小学校五年生のときに新刊として読みました。
大好きな本であったのに、引越しを繰りかえすうちに
紛失しました。
当時の児童書は箱入りでした。
箱は山口はるみさんのオシャレでカッコいい絵です。
(五年生のときは、もちろんおしゃれな絵だな~と思っただけで
山口はるみさんのお名前を意識したわけではありません)
翻訳は矢川澄子さんでした。
この本を、70年代の子どもであったわたしたちのために
翻訳してくださった矢川さんに、
いまさらですが、感謝したいと思います。
ちょっとワルい女の子の話です。
ワルいところが魅力でした。
わたしは中学生になっても児童書のジャンルのものを読んでいました。
岩波少年文庫の新訳で、面白いものがたくさんありました。
ピーター・ラビットの翻訳が出たのも中学生のころでした。
当時はまだそんな時代だったのです。
ジュニア小説には移行せず、
そのまま高校生になってふつうの文豪系小説を読むようになりました。
賢治さんを読んでいた小学生のとき、
「お話」をつくって書く人になりたい、と思ったのです。
山梨では、だいたいこんな内容のお話をしつつ、
あちこち脱線しながら、講演を終えました。
お越しくださったみなさまに感謝します。
今月は31日に、有楽町のよみうりホールでも講演をいたします。
こちらは「宮沢賢治をナナメに読む」というテーマです。
また8月6日には塩尻市図書館にてもお話をいたします。
お近くのかたは、ぜひお越しくださいませ。