はじめての試みであった読書会は
無事に終了いたしました。
当日、近隣では「さくらまつり」の真っ最中。
本来ならば課題図書『さくら、うるわし』にふさわしい景色で
あったはずなのですが、
今年は葉桜の「さくらまつり」でありました。
わたしの地元でも、
さくらのトンネルのもと歩行者天国を実施しておりましたが
(おかげでいつものバス停からバスに乗れず)
例年なら花吹雪をたのしめるそぞろ歩きも、
こもれびのなかを歩くことに。
(わたしの地元ではBGMは祭太鼓。
地元氏神が〈くり抜き胴太鼓〉としては日本一の
大きさを誇る太鼓を所有している関係で、
地域でも太鼓が盛ん。なんだかなぁ…の気分でした)
読書会では、
『さくら。うるわし』の収録作品に犬が登場することにちなみ、
犬という漢字にまつわるお話をしました。
以前にエッセイにも書いたことがありますけれど、
わたしの子ども時代は、
食卓で漢字練習帳に取りくんでおりますと、
母がそれをのぞきこみ
「点が抜けてるわよ」
(小点のこと)
と云ったものでした。
練習している漢字は
「突」や「戻る」や「類」など。
手本をひろげて、
これらの字に点がないことを母に告げます。
すると、母は不安な表情になり
「伏せるは」とか?
「自然の然は?」と訊いてきます。
「(点は)ある」と答えるわたし。
「だったら、突も戻るも点があるはずじゃないのよ犬なんだもの」と云う。
「いいえ、大です」
「なんで?」
そこで母は、はたと思いだし、
新聞の切り抜きを張ったノートを
ひろげます。
そうです。母たちの世代は戦後の国語改革に翻弄されて、
かつて正しく覚えた「こむづかしい」漢字の数々を、
わが子に「まちがっている」と指摘されてしまった不幸な人たちだったのです。
あたらしく決定した常用漢字は新聞に発表され、
変更があるたびに追加記事が掲載されました。
それを、スクラップしてあるのが、上記で母が取りだしたノートでした。
「せっかく、あんなにむづかしい字をおぼえたのに」というのが
母の口癖になりました。
そういう漢字の原点である「犬」についてのお話でした。
犬の字の小点は耳をあらわしています。
わたしもそれを白川静さんの書物で知りました。
白川静さんの『字統』にご興味のあるかたはコチラのサイトで。
基本の「き」である犬と人と口についての解説が掲載されています。
↓
ーーといったことを端緒として、桜蔵くんの体験をまじえつつ、
物語の背景など、思いつくままにお話をいたしました。
ご参加のみなさま、ありがとうございました。