偶然にも、
happyholidayにふさわしい装幀にしあがった新刊でずが、
みなさまの印象はいかがでしょうか。
賢治さんが
遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙いろではっきりし、
近いものは青白く少しかすんで、或いは三角形、或いは四辺形、
あるいは電(いなずま)や鎖の形、さまざまにならんで、
野原いっぱい光っているのでした。
――とスケッチした銀河の世界を
イラストレーターのjunaidaさんが巧みに表現してくださいました。
表紙も、賢治さんがとりわけ好んだ鋼青。
金で刻まれたjunaidaさんの線が際立ちます
〈いま新しく灼いたばかりの青い鋼の板のような、そらの野原に〉
という賢治さんのイメージを映した本となりました。
カバー裏の少年も可愛らしいですね。
《鐶の星》が描かれていて、わたしにはべつの少年たちも
透けてみえてしまいました……。
夜明け前の空に、けさも金星がかがやいていました。
その下のほうに、もうひとつ惑星が。
水星です。その近くに紅い星がみえました。
もしかして、アンタレス?
さそり座のほかの星々は見えません。
パルドラの野原の〈火〉のようでした。
火といえば、
古来から、亥の眼の紋様は〈火除け〉として
神社の拝殿の装飾のなかに彫りこまれてきました。
亥の眼というより、
現代人にはハート型と呼ぶほうが
イメージしやすいですね。
これはわたしの地元の神社の拝殿前の門の破風屋根の
彫刻です。
古代より、木造建築には欠かせない護符でした。
なぜ亥の眼なのか?
これも古代の呪術とかかわりがあります。
亥は山の神の象徴で、この神の武器が水であるからです。
火事には水、というわけで亥の眼が有効なのです。
亥がなぜ山の神なのかは、方位に関係があります。
亥は西北で、西北は壬(みずのえ)であるから。
――とわたしも陰陽五行にくわしいわけではありません。
吉野裕子さんの『日本古代呪術』を参照しました。
猪が山の神で水を武器にしていることを認識して
古事記の倭建命の物語を読み直してみれば、
ああ、なるほど、とみなさんも納得できると思います。
トップ画像は、恵比寿ガーデンプレイスのツリーです。
わざと、モノクロ風に加工してみました。
石炭袋に呑みこまれていったかもしれない
カムパネルラのことを連想していたら、
こんなアレンジをしてみたい気分だったのでした。