水色が目に沁みる……
水辺の景色を思わせる石をながめて
ゆく夏を惜しむ。
画像は青色電氣石入り水晶(ブラジル産)
硝子細工のようでもあり、琥珀糖のようでもあり。
あるいは
雲ににじむ水平線
白い皿にひかれた一筋の藍
こんな海洋地図がどこかにあるかもしれません。
こちらは
亜鉛孔雀石(Rosasaite) メキシコ産
青い石なのに名前のなかにRosaがあるのは
最初の産地がイタリア、サルデーニャ島のローザ鉱山だからです。
ラグーンのようにみえるのは、結晶が球状をしているためです。
(繊維状の結晶が放射状に集合することで球をつくり、それが
ぶどうのごとくあつまっている)
まだまだ猛暑の真っ最中ではありますが、
日の出は遅く、日の入は早まり、
淋しい季節となりました。
賢治さんの秋の心象スケッチに
こんな場面があります。
龍が棲むという沼の夜の水際にての観察です。
……今日のひるま
鉄筆でごりごり引いた
北上川の水部の線が
いままっ青にひかりだす……
このスケッチは賢治さんが花巻農学校の
教師をしていた時代に書かれました。
ガリ版のための版下として
玻璃紙に鉄筆で線を引いたのです。
ひっかっき疵をつける状態になりますので
その線は白いミミズばれであったはずですが、
後刻、夜の沼の昏い水面に
残像となって浮かび、
さらに、まっ青にひかりだしたというのです。
地図上の川や海を、水部と呼びます。
賢治さんにとっての北上川は天の川でした。
ですから、この
〈まっ青にひかりだした〉線というのは
『銀河鉄道の夜』の黒曜石の地図にあらわされた
〈天の川の左の岸に沿って一条の鉄道線路が、
南へ南へとたどって行くのでした〉とされる線を
わたしは連想してしまいました。
9月21日(土)に
山梨県立文学館にて講演を行います。
「カムパネルラのスケッチ帖」という題で、
ちょうどいまご紹介したようなことなどを
お話しようと思います。
ご興味のあるかたは、どうぞお越しください。
講演の詳細は
耳猫風信社のHPあるいはTwitterを
ごらんください。