文庫新刊の『さくら、うるわし』が
刊行されました!
帯の色を目にして
絶句なさっているかたも多いかと思います。
先にもご説明したとおり、
これは版元さまの今月の規定の色にて……。
ピンクという色は、
いまでこそ一般的ですが
江戸時代にはこの名前では呼ばれておりません
現在の色見本帖では、
英語のPink(植物名)にたいして
日本語はいくつか種類があり
朱鷺(鴾)、石竹、撫子など
鳥類としてのトキはご存じのように、
純日本産は絶えてしまいました
石竹、撫子は植物名ですが、これも植物園レベル
日常では目にする機会がなくなっています
桜色は、色見本帖ではかなり
白っぽいピンク色をさしています
ソメイヨシノは白に近い色ですのでそのイメージでしょうか
このところ、
ソメイヨシノが古木となり、都内では植えかえが進んでいます
あたらしく植えられるのは
ソメイヨシノではなくジンダイアケボノという桜
ジンダイというのは神代植物園のことをさしています
ここで品種改良されたのだそうです
ソメイヨシノにくらべてかなりピンク色の濃い桜です
若木でもあり、見なれない桜でもあるので
はじめは、妙に色気づいた小娘風でしたが
枝の成長とともに
あかるい華やかさをふりまくようになっています
ソメイヨシノの散り際の美学が好きなかたには
敬遠されてしまいそうな
お転婆ぶりです
文庫版『さくら、うるわし』では
mumeiさんが凜としたまなざしの
若者を描いてくださいました
原画を和紙にお描きになるのだそうです
線の繊細さがしのばれます
このたびは帯の強烈なピンクと
描かれた桜の花が妙にシンクロすることに
なってしまいましたが
ぜひ、帯をほどいて
ご覧くださいませ!
また、解説は門賀未央子さんが
夢の考察をまじえ、
桜蔵の身にふりかかるあれこれを
読みといてくださいました
みなさんもどうぞ夢にひたりつつ、味わってください
わたしは「その花の名をしらず」の
最終章を書いております
桜蔵は現実に着地できるのか、
はたまたべつの夢の淵にいざなわれるのか
わたしにもまだはっきりしません
書いてみないことには……
春ごろにはしあがるかと