もう半世紀もまえの話ですが、
夏のある朝、
洗濯ものでいっぱいのベランダの手すりに、
見慣れない鳥がいました。
呼びたてる声で、その存在に気づいたのです。
耳垂れを持つ特徴のある姿から、
九官鳥だとわかりました。
それにしても、なぜここに?
(集合住宅の4階です)
ひとの姿におびえる風もなく、
もう、くたびれた、と云いたげ。
水が欲しいのかも、と思い、
水をいれた容器をベランダの床に置きました。
すると、すぐに手すりから降りて、
水を飲みはじめました。
おなかも空いている?
とはいえ、インコ飼いのわたしに、
九官鳥の「ごはん」はさっぱりわかりません。
(肉食系かも、と誤解して)
朝食のウインナーを小さくしたものと、
食パンの切れ端をならべてみました。
すると、九官鳥が選んだのは食パンのほうでした。
お食事中のところ、取り急ぎ洗濯かごをかぶせて
保護しました。
(脱走中のはずなので)
抵抗はなく、
むしろ、ほっとしたようす。
わが家にあった予備の鳥かごは、
インコさま用の小さな鳥かご。
とりあえずは、そのなかに入ってもらいました。
円筒形のタイプです。
思いのほか、気にいったらしく
すっかり、くつろいだ気配に。
結局、そのままウチの子になりました。
もとの飼い主さんをさがしましたが、
どこからやってきたのか、さっぱりわからず。
九官鳥の絵が描いてあるエサを買ってきました。
鯉のえさに見かけもにおいもそっくり。
(鯉を飼ったこともあるのです)
でも、最初に食べたパンがお気に入りのようす。
その食パンが主食になりました。
メーカーもおなじでなければいけないのです。
その後、十四年ほどわが家にいてくれました。
九官鳥は、二十年以上長生きする子もいるようですが、
ウチの子は、
こちらの知識が足りなかったせいで、
好きなものを好きなように食べさせてしまい、
その食生活が影響したかもしれません。
固形のチーズ(黄色いもの)や、
パンと一緒に焼きあげた干し葡萄
(自家製パンを焼く店のレーズンパンのなかのレーズンのみ)
などが大好物でした。
というわけで、
太田記念美術館で開催中の小原古邨展のポスターの
九官鳥を目にしましたら、
すぐにも観たくなり、
締め切り前で家ごもりのはずが、
早起きして原宿へ。
「木蓮に九官鳥」は展覧会前期の展示のみで
今月29日まで、と期限があったのです。
Qちゃんに逢ってきました。
クリアファイルも入手。
そのほかの小鳥たちも、可愛いらしく
出かけてよかったと思いました。