
大江戸線の赤羽橋の駅ではじめておりた。絵はがきのように東京タワーがみえる。この都営地下鉄が開通する以前は、こちらの方角から芝公園に近づくことはなかったので、新鮮な風景だった。地下鉄をおりて地上へあがったとたんに東京タワーが見えるのは、なんだか得した気分になる。お天気もよかった。
「文藝」の秋号(7月上旬発売)で長野の作家生活20年(と自分で云うのは気恥ずかしい)の特集が組まれることはすでにお知らせしたとおり。そのなかで、いつもどおりに入る対談のお相手を、このたびはコラムニストで気象予報士の泉麻人さんにお願いした。
テーマは「子どものころの東京の風景」について(泉さんは、とってもおしゃれなかたで、さすがに東京の山の手育ち。山の手線の外にしか住んだことのないわたしとは大ちがいだ)
というわけで、東京タワーの見える場所での対談となった。
肉眼でも模型じみているタワーだが、レンズを通すと、なおさらオモチャのようだ。
タワーを見るたびに、子どものころ、父に連れられて階段でのぼった記憶がよみがえる(あの四角い窓がたくさんならんでいる第一展望台まで)。 階段の下から風が吹きあげてくる、その風の感じをよくおぼえている。