
青いインクの澄んだ色で、雨の日の気分を晴らす・・・というわけではないが、青インクをひっぱりだす。雨の日は、家のなかの空気もすっきりしないので、レインドロップという名のお香もたいてみた。
さて、青インクのラベルにはIndigoと書いてある。濃紺(のうこん)。
改造版「少年アリス」では、ちかごろのわたしの傾向にあわせて、旧作で漢字であったところを、かなりの割合でひらがなにしている。極端な人間なので、どこまでひらけるか(ひらがなにすることが可能かの)、限界に挑んでいるような始末。
それでも、色の名前では、ずいぶん悩んだ。象牙色は、ぞうげいろ、なんて書くと、色あいや性質をイメージできなくなる。そこで表現自体を大幅に変更した。「群青天鵞絨」は、読者のかたの異論もあろうかと思いつつ、群青ビロードにしてある。前後のニュアンスを考慮してのことなので、実際にお読みになったあとで、ご意見をうかがいたい。
群青は、横文字の色名にするなら、ウルトラマリン、ラピスラズリ、アズライト、といったところと変換可能だ。でも、たとえ似かよった色をさすとしても、カタカナ名では、「群青」の文字があらわしている、さびしさは、感じられない。宮澤賢治は、しばしば「泣く」ということばを強めるために「群青」をつかった。
まさに、それこそが、漢字のもつ感受性だ。
改造版「少年アリス」では、どうしてもはずせない「群青」などの漢字を生かすいっぽうで、漢字の持つ見た目の表現力によりかかりすぎた部分は、思い切った手直しをくわえている。
7月発売の「文藝」秋号に冒頭部分だけ掲載するが、秋に刊行予定の改造版「少年アリス」の単行本では、それよりもさらに、変化している。
いまは、その作業の真っ最中。というより、終盤である。