
母校の小学校の校舎のなかを、卒業以来はじめて見学した。ずっとおなじ土地にとどまっているので、外観はいつも目にしていたけれど。
体育館やプールも見せてもらう。わたしの在学当時とおなじであることに、おどろく。つまり、その旧式な設備に。プールは森(と呼ばれていた)に隣接していて、半分はいつも日かげ。現在は、木をすこし刈り込んで、水面にかげがかからないようにしているとのこと。
体育館がまた、昔のまま老朽化していた。思えば、わたしの在学中に創立20周年をむかえたのだ。しかもその前半は、分校から格上げになったばかりで、学校としての設備もととのっていなかった。
プールも体育館も当時はまだ新しい部類だったのだ(印象としては、じゅうぶんに古いと感じていたけれど)。
体育館の壁に大型の鏡があり、しかも扉がついていた。在学中の一時期、校舎の新築工事にともなって、体育館が図書室がわりになっていたことがある(そのあいだ体育の授業はできず)。
そのときに、わたしは偶然にも『鏡の国のアリス』を借りだし、この体育館のなかの机で読んでいた(小学校3年)
壁の鏡を、鏡の国への入り口に見立てたのは、云うまでもない。
校舎の廊下の窓が思っていたよりもずっと大きく、夜天(ソラ)と景色がパノラマのように見えるのが、おどろきだった。しかも、すぐそばを走る中央線の線路が、ちかごろ高架になり、目の前をあかりのついた電車が通りぬけてゆく光景に、目をうばわれた。
(一日じゅうでもながめていたいほど、たのしい)
この夜は曇りだったけれど、晴れていたら星天(ホシゾラ)が見えるだろう。残念なのは、全体に都市化がすすんで、夜天があかるいこと。わたしが在学していた当時なら、まちがいなく北の星座はほぼ全部ながめることができただろうに。
むろん、ふつうの小学生は夜の学校には、はいれない(笑)