母校小学校の図書室は、書だながスカスカ。とうより図書室がひろいわりに蔵書がすくない。
案内の先生によれば、近ごろは読みたい本があれば家庭で買ってもらえるので、生徒たちに借りて読む習慣がなく、図書室もかつてのような機能をはたしていない、とのこと。
小学生の当時、わたしのまわりには、好きなだけ本を買ってもらえる生徒など、数えるほどしかいなかった。
昔ばなしをすると、出身がちがっていても、「岩波少年文庫の全シリーズがそろっている子がいてうらやましかった」というのが話題になる。学校にひとりくらいのわりで、そういう恵まれた子どもがいたようだ。
私の時代には、そうとうの古書もあったが、現在の図書室では古いといっても、せいぜい20年くらいまえに刊行された、というていど。
無用の書紙魚食ひあきて死ぬるらむ(虚子)
といった、書物はなし。
これでは、桜蔵(さくら)のような体験はできない。する必要もないが(笑)
わたしは、小・中・高のいずれも、とてつもなく古い書物がある図書室を持つ学校で学んだので、図書室といえばかびくさい、ものと思っているが、
そういえば、母校のひろい図書室では紙のにおいもしなかった。